『針歳暮』と書いて『はりせんぼ』と読む。
約束破って呑まされるものとかトゲトゲの魚とか二人組の女芸人さんとは関係ない。
針歳暮というのはT山の風習らしいんだけど、実家の母に『針歳暮の餅は何軒分用意すればいい?』と訊かれるまで私も知らなかった。
娘が結婚すると、その年の暮れ近く…12月8日の針供養の日が基準…に嫁の実家から嫁ぎ先に贈られるお歳暮なのだそうだ。
中身は桜の印がついたでっかい大福餅で、その餅を嫁と旦那が親戚とかご近所とかお世話になった人にふるまうのだと。
うちの娘をよろしくお願いしますよ、可愛がってね、という感じで嫁いだ娘を気遣う実家の親心からの慣わしらしい。
針供養と被せてくるのは、嫁の裁縫とか、つまり家事とか上手くなるよう応援してやってよ、という意味もあると解釈した。
そんな訳で今日は、ちょっと早いけど針歳暮を配った。
嫁いだ家とその親戚と、結婚式に主賓として来て頂いた社長の分とで5軒分、西へ東へ走り回って一日が過ぎた。
帰ってから早速、家用のを開けて一つ食べてみた。
5個で1セット。
でっかいよ! 掌との対比を見て!
中身はこし餡で、ただ砂糖の味だけでなく少し塩を効かせた、ねっとりした濃厚な甘さ。ウマーーーー!!
『独占したい旨さ』とは彼の弁。普段、何を食べても『ふーん、まあ旨いんじゃない?』みたいな言い方をする料理評論家気取りなだけに、これは異常事態だ。
とか思ってるうちに、5つ中3つが消えていた。おのれ…!!
腹が立ったので、寝てる時に旦那の布団に冷え性の足を突っ込んでやった。反省するがいい。
PR